先日、日台の商談会を行うにあたり、台湾側の参加企業を募集するために、Facebookのメッセンジャーから複数の企業に一斉に連絡を入れました。
メールよりもFBメッセージの方が担当者に確認されやすいですし、そもそも公式サイトに掲載されている連絡窓口がFBメッセだけで、メールアドレスが載っていないというケースも珍しくありません。であれば、直接投げるのが早いと考えたわけです。
結果、個人アカウントが停止されました。しかも紐づいているFBページや広告アカウントまで巻き込まれて止まってしまい、数日気づかず放置してしまった上に、復旧にも予想以上に時間を取られました。
今回はこの一件から学んだこと、そしてMeta広告に精通した先輩から共有してもらった助言を、備忘録として書き残しておきたいと思います。
何が起きたか
Meta側の判定はおそらく明快です。「あまり使っていない個人アカウントから、短時間に、複数の企業へ、似た文面のメッセージが飛んだ」という一連の挙動は、ほぼ機械的に「乗っ取り・スパム」として検知されます。
人間の目で見ればビジネス上まっとうな行動であっても、パターンとして見ればスパムボットと区別がつきません。判定側の都合であって、こちらの意図は関係ないわけです。
そして今のMetaは、個人アカウントとFBページ・広告アカウントが”運命共同体”になっています。個人が止まると、紐づく事業アカウントまで連鎖して止まる仕組みです。個人アカウントの運用を軽く見ていると、事業のインフラごと止められてしまいます。
気づくのが遅れた理由——FBページ側の通知の穴
今回、痛かったのは復旧作業そのもの以上に、FBページの停止に気づくのが数日遅れたという点でした。
- 個人アカウントの停止 → メールで通知が来ます。ログインしても停止のメッセージが表示されるので、すぐに気づけます。
- 個人アカウントに紐づくFBページの停止 → 特に通知は来ません。何かの拍子に自社の関連ページを踏んで、初めて気づく、といった発見の遅れが起きます。
そして一般的な感覚では、「個人アカウントが復旧すれば、FBページも一緒に復旧するだろう」と思ってしまいます。
実際は違いました。FBページは別途、復旧のための操作が必要でした。
個人が止まればページも道連れになるのに、復旧は連動しない、という非対称な仕様です。ここに素直に引っかかりました。
Meta広告に精通した先輩からもらった助言
今回の件を共有したところ、Meta広告の運用を続けている先輩が、実務側から見た具体的なアドバイスを共有してくれました。備忘の意味も込めて、要点をまとめておきます。
① 個人アカウントを「日常的に生きている」状態にしておく
- 実名登録・プロフィール写真・友達100人以上を維持する
- 週1〜2回は普通の投稿をする、友達の投稿にいいねやコメントもする
- 逆に、普段ほとんど使っていないアカウントで急に営業行動をすると、それだけで一発でフラグが立つ
使うと決めたアカウントは、「普段から生活感のある使い方」を並行させておくのが基本、とのことでした。
② 複数社への一斉連絡はやり方を変える
- 個人のメッセンジャーで一斉送信はしない
- 1日に送る件数を絞り、時間を空けて送る
- 定型文をコピペで送らず、少しずつ文面を変える(スパム判定は「同じ文面の連投」も見ています)
- 数十社規模でやるなら、個人アカウントではなく、会社のFacebookページ/ビジネスアカウント経由でのメッセージ送信に切り替える
「効率化」のつもりで一斉送信をやると、真っ先にBOT判定される、というのは覚えておくべきポイントだと思います。
③ 万一止まった時のために
- 2段階認証は必ずオンにする(管理者だけでなく関係者全員)
- 異議申し立ての手順を事前に確認しておく
いざ止まってから慌てても、その最中は事業アカウントごと動きません。「止まる前提」で保険を整えておくのが実務的な備え、という話でした。
実際にやってみた所感
返信率そのものは、そこそこあった印象です。ただし問題は、返信の中身が「担当者に伝えました」というだけのケースが多く、担当者が誰なのか、担当にしっかり伝わっているのかが分からないという点でした。
これはFBメッセに限った話ではなく、公式LINEから送っても同じ傾向がありました。最近では公式LINEもFBと同じくらい台湾企業の窓口として広がっていて、HP上で「お問い合わせは公式LINEから」と案内しているところも多いです。ただ、LINE経由でも「担当者に伝えます」で止まってしまうパターンは同じくらいあります。
とはいえ、なかには直接担当者が返信をくれたり、担当者の連絡先やLINEのQRコードをその場で送ってくれる企業もありました。一次接触のチャネルとしての性能は、FBもLINEもそれほど大差ないと感じています。
一次接触のチャネル、いまの実感的な優先順位
FB停止の件も踏まえた上で、今の自分の実感的な順位は、メール < FB < LINEという順序になっています。
- メール:HPやFBに掲載されてはいるものの、メールBOXがいっぱいで届かない/すでに使われていない/届いても誰も確認していない、というケースが本当に多いです。窓口としての信頼性が下がっています。
- FBメッセ:メールよりは確認されやすいですが、今回のようにアカウントごと止められるリスクを抱えています。加えて、投稿頻度や最終投稿日を確認することも重要です。何年も更新が止まっている、運営側がすでに確認していない、そもそも企業自体が潰れているのにFBアカウントだけ残っている、というパターンも珍しくありません。
- 公式LINE:既読確認ができるので、少なくとも「誰かしらが見ている」ということが送り手側でも分かります。メールやFBはそこが不透明なので、その一点だけでもLINEの方が扱いやすいです。さらに、LINEは一定の機能を使おうとすると有料プラン契約が必須になるため、そのまま放置されている確率は他のチャネルよりも低くなる傾向があります。
今回のアカウント停止のリスクを差し引いて考えると、LINEから送る方がリスクは低く、得られる結果もそこまで変わらない、というのが今の暫定的な結論です。
まとめ
台湾のB2Bで一次接触をかける際のチャネル選びについて、今回の一件を通じて自分の中の優先順位が整理されました。
- 少数の重要な相手には個別に丁寧に
- 規模を出したいなら、個人アカウント経由ではなく、会社ページや広告経由で
- 一次接触の効率と安全性のバランスで考えるなら、まず公式LINEを試す
- FBメッセを使う場合は、送信先アカウントの活動状況(投稿頻度・最終投稿日)を先に確認する
効率化のつもりでやったことが、事業のインフラを止める結果になる、というのは今回の大きな学びでした。ツールの性能そのものよりも、「使い方を間違えた時のリスク」の大きさを事前に見ておく必要がある、ということを実感を伴って教えてくれた出来事でした。

