「大丈夫」が信用できない?日本と中華圏の「責任感」の違いを実例で解説

台湾ビジネスのヒント

中国の工場や台湾のメーカーに依頼したのに、ギリギリになって「間に合いません」と言われた経験はありませんか。
「なぜ早く言ってくれなかったのか」「あのとき大丈夫と言っていたのに」と怒りたくなる気持ちは当然です。
ただ、この問題の根っこには、「責任感」という言葉の定義の違いがあります。
実際のケースをもとに、その違いを整理してみます。

きっかけになったケース

ある日本企業が中国の工場に対して、展示会に向けた新商品のサンプル製作を依頼していました。
展示会のタイミングも伝えた上で、「それまでに間に合わせてほしい」とお願いしていたんです。

ところが展示会の直前になって、工場から「間に合いそうにないです」という連絡が来ました。

日本企業からすれば「話が違う」となります。
間に合わせる前提で進めていたのに、なぜ今になって、と思いますよね。

日本における「責任」の範囲

日本では、責任というのは結果も含むものだという感覚が強いと思います。

たとえば窓口担当者が「できます」と言ったなら、それは工場側で何か問題が起きたとしても、窓口の人が何らかの策を講じて間に合わせなければならない。そういう暗黙のルールがあります。

「自分が約束した以上、最後まで責任を持って解決する」という姿勢が、日本の商慣習の中に根付いているように思います。

中華圏における「責任」の範囲

一方、台湾や中国では、責任の範囲が説明の責任と対応の責任で切り分けられていることが多い印象があります。

先ほどのケースで言えば、こういう理解です。

  • 工場側の問題は、工場側の問題。窓口担当者の責任ではない
  • ギリギリでも「間に合わない」と伝えた→説明の責任は果たした
  • 工場は工場でできる限りやった→対応の責任は果たした

つまり、「最初の約束を最後まで守り切る」ことを必ずしも責任とは捉えていない可能性があります。
なので、「相手にこちらの怒りが伝わっていない」と感じてしまうのは、この定義の違いが背景にあると思います。

「大丈夫」が必ずしも確定ではない理由

中華圏のビジネスコミュニケーションは、全体的に楽観的な傾向があると感じています。

日本企業は、9割以上の確率で実現できると判断して初めて「できます」と言う感覚に近いのではないでしょうか。
逆に50%くらいの見込みなら、「絶対できます」とは言わないですよね。

ところが台湾や中国の企業は、「今の段階で想定しているプラン通りなら大丈夫」という前提で「大丈夫」と答えることがあります。
また、最初の時点で断ることが相手への失礼、あるいは自分や会社のメンツに関わると感じる文化もあります。
協力的な姿勢を見せたい、という心理も働きやすい。

そのため、確信が持てていなくても「大丈夫です」と言ってしまうことが、珍しくないように思います。

実務で気をつけたいこと

こうした文化的な違いを踏まえると、日本と同じ感覚で進めると大きなミスにつながるリスクがあります。

心配な案件ほど、細かく進捗を確認する習慣をつけるのが有効です。
ただし、細かく確認しても「大丈夫」とあっさり返ってくることもあるので、その返答を鵜呑みにしすぎず、ある程度は話半分で聞くくらいの感覚でいた方が安全だと感じています。

優秀な工場であれば納期管理は厳しく行っているケースもありますが、今回は試作品という「初めて作るもの」だったので、工場側も判断が難しかったという事情もあったかもしれません。
ただ、それを差し引いても、責任感の定義の違いを理解しているかどうかで、トラブルの見え方はかなり変わってきます。

まとめ

「大丈夫と言っていたのに守られなかった」という不満の多くは、責任の範囲に対する認識のズレから来ています。
日本が「結果まで含む責任」であるのに対し、中華圏では「説明と対応の責任」で切り分けていることが多いようです。
メンツを重視する文化や楽観的なコミュニケーション傾向も、この問題に絡んでいます。

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