日本人が知らずに踏むタブー——台湾ビジネスで気をつけたい5つの文化ルール

台湾ビジネスのヒント

台湾でB2B提案をしていると、必ず一度は話題になるのが「中華圏の文化的タブー」です。時計を贈ってはいけない、赤と金は縁起がいい、4は避ける——耳にしたことがある方も多いと思います。

ただ、実際に商談の現場で立ち会っていると、思っているほど硬いルールではない、と感じることが多いです。「絶対のタブー」というより、「気にする人が一定数いる」というのが実態に近い。そしてそこには年齢層・志向による大きな差があります。

今回は、B2B提案でよく話題になる5つのポイントと、その「実際の温度感」を整理します。

①贈答:時計・扇子は「日本人でも知っている方が増えてきた」

「中華圏で時計を贈ってはいけない」「扇子は避けたほうがいい」といった話は、日本人でも知っている方が増えてきているように思います。詳しく知らなくても「送ってはいけないものがある」というざっくりした認識があるので、ノベルティやギフトを提案するときに「大丈夫かな?」という意識は最初から働きます。

とはいえ、油断できないのが「良かれと思って用意した手土産が、実は文化的にNGだった」というパターンです。事前に相談せずに直接持って行ってしまうと、後になって気まずい空気が流れることもあります。ここは気をつけた方が無難です。

実務でよくあるのは、商談の場でノベルティ提案が話題になるパターンです。

「日本らしいノベルティで、これはどうでしょう?」
「それだと台湾には適さないですね」

こう台湾側の担当者が事前に指摘してくれるので、ある程度は安心できます。ただこれは「相手が指摘できる関係性がある」場合に限ります。ネット記事で覚えた個別ルールを暗記するより、その場で確認できる関係性を作っておくほうが実用的だと感じます。

②色:赤と金は「若い層には古臭い」

中華圏では赤と金が縁起のよい色とされる、というイメージは強いです。ただ「なんでも赤と金にすればいい」わけではありません。

若い世代からは「古臭い」「時代に合っていない」と感じられることもあります。赤と金は新年のイメージが強く、日常使いには派手すぎると受け取られる場合があるからです。

ギフト提案では喜ばれることが多いですが、色選びにはターゲット年齢層の考慮が必要です。年配層向けか、若年層向けか。B2Cで店舗デザインやパッケージを設計する場合、この判断は特に効いてきます。

③数字:「4を避ける」より「価格の見せ方」

「4は縁起が悪い」「8は縁起がいい」といった数字の話も有名です。実際、台湾でも4を避ける傾向はありますが、極端に神経質というほどではありません。

むしろB2Bで気にすべきなのは、価格表示の感覚差です。

日本では、198円や4970円のように「下1桁を7や8」にする感覚があります。マーケティング的には、下1桁を7にした方が反応がいいという話もあるようです。

台湾では、下1桁を8にするパターンが多いです。88元、98元、78元。または千の位・万の位から1元下げて「1999元」「2999元」と表示するパターンもよく見ます。

忌み数を避けることより、「相手にとって心地よい価格の見せ方」に配慮する方が、実務では効いてきます。

④日取り:鬼月は「オープン」「新しいこと」だけ避ける

旧暦7月(鬼月)は、中華圏で特別視される期間です。ただ、B2Bの取引開始や日常的な商談は、鬼月だから避ける、ということは基本的にありません。

避けられるのは「新しく始めるもの」です。

  • 店舗のオープン
  • 会社の移転・引っ越し
  • 大型キャンペーンの立ち上げ
  • 一度きりのイベント

こうした「区切りとして意識される日」は、鬼月を外すのが慣例です。逆に、既存の取引や継続案件は普通に動きます。

日本人としては、「これは新しく始めるものか、それとも継続の話か」を意識して、前者だけ鬼月を避ける、というくらいの理解でちょうどいいと感じます。

⑤風水:気にする層と、気にしない層に分かれる

家具・オフィス・店舗設計の提案では、風水が話題になることが多いです。ただこれも「絶対のルール」ではありません。

風水を気にする層と、デザイン性・機能性を重視してまったく気にしない層に分かれます。若い世代・都市部・機能重視の層ほど、風水よりデザインを優先する傾向があります。

一概には言えないので、B2C向けの提案ならターゲット層を見て判断する、B2B向けなら決裁者の志向を確認する、というくらいの受け止めが実用的だと思います。

共通する考え方——「気にする層が一定数いる」

5つのポイントを見て感じるのは、いずれも「絶対のタブー」ではなく「気にする層が一定数いる」という構造です。

B2B提案で失敗しないコツは、「気にする側を怒らせない」ことをコストゼロで済ませることだと感じています。でも過剰に気にしすぎると、「何を提案しても引っかかりそう」で提案自体が萎縮します。

判断軸としては:

  • ターゲット層の年齢・志向を見る
  • 「新しく始めるもの/一度きりのイベント」だけ日取りを気にする
  • 忌み数を避けるより、価格表示の感覚を合わせる
  • 迷ったら、その場で台湾側パートナーに確認する

一番実務的なアドバイス

事前にすべてのタブーを覚えるより、「これで大丈夫ですか?」と気軽に聞ける関係性を作っておく方が長期的に楽です。

台湾のパートナーは、日本人が気づかない微妙なニュアンスを教えてくれます。逆に日本人側で「これを気にしすぎるのは杞憂ですか?」と確認できると、無駄なコスト(過剰な色変更、日取り調整など)を減らせます。

まとめ

台湾の文化的タブーは、思っているほど硬いルールではありません。ただし「気にする層が一定数いる」ので、B2B提案では避けておくのが安全です。世代・志向による差が大きいので、ターゲット層で判断するのが基本線です。

そして最強の武器は、「その場で聞ける関係性」です。事前チェックリストを完璧にすることに時間を使うより、確認できるパートナーを一人持っておく方が、実務では圧倒的に楽になります。

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