中国語や英語の契約書を作る・読む、どちらでも「AIで何とかならないか」と考える方は多いと思います。私も実際に、中国語ベースの契約書作成にAIを使ってみました。そこで気づいたことをまとめます。
AIで契約書を「作る」際に感じたこと
今回は、ある程度の形が整っている雛形をベースに、状況や前提条件、細かい注意事項をAIに伝えて、契約書をブラッシュアップするという使い方をしました。
使ったのはChatGPTです。
ひととおり完成に近い状態になったと感じたので「穴はないですか?」と確認を入れたところ、「ここはこうした方がいい」という指摘が返ってきました。修正して再確認すると、また別の点を指摘してくる。その繰り返しで、なかなか終わりが見えない感覚がありました。
これはChatGPTの設計上の特性というか、会話を続けようとする傾向があるためだと感じています。「どこまでを完成とするか」を自分でラインを決めないと、延々と改善ループに入ってしまいます。
一方で、何も指摘せずに「これでOKです」と返してくるAIは、それはそれで抜けや不足がある可能性があります。どちらにもトレードオフがある、という印象です。
AIで契約書を「翻訳する・読む」際の精度
中国語の契約書を日本語に翻訳して読む、という用途については、かなり実用的なレベルになっています。
よほど専門性の高い用語や、台湾ローカル特有の表現・単語が出てこない限りは、自然な形で翻訳されると感じています。
ただし、言語を翻訳する際には「ぴったり対応する言葉がない」というケースも当然あります。そこで誤訳が発生したり、意図が伝わりにくい表現になったりするリスクはゼロではありません。重要な契約書であれば、ネイティブチェックは入れた方が安心です。
現時点でのAI活用の限界と向き合い方
AIの能力自体は確実に上がっています。プロンプト次第ではありますが、契約書の作成・翻訳とも、8〜9割の完成度まで持っていくことは十分できると感じています。
ただ、契約書は法律に直結するものです。以下の点は、今もAI単独では補えないと感じています。
- 現地の法規・法令に則った内容になっているかの確認
- 翻訳における細かいニュアンス・意図の担保
- 最終的な法務リスクの判断
簡易的な契約書であれば、AIだけで作ることも現実的になってきています。一方で、ビジネス上の重要な契約については、弁護士や法務の専門家によるチェックはまだ必要な段階です。
まとめ
AIは契約書の作成・翻訳において「8〜9割の土台」を作るには十分な能力を持っています。ただし、最後の1〜2割——法規との整合性確認、ネイティブチェック、法務判断——は、専門家の目を通すことが重要です。AIをゼロから全部やらせるのではなく、ドラフト作成や読解の効率化ツールとして使い、最終確認は人の手で、というのが現時点での現実的な使い方だと思います。

