台湾で長期滞在する日本人経営者・駐在員が「そろそろ台湾の免許に切り替えるか」と考えるタイミングがあると思います。私も先日、日本の免許から台湾の免許に切り替えたので、その全プロセスを記録として残しておきます。
結論から言うと、日本免許持ちなら1日で切替完了、申請費用は450元(別途、訳文取得費がかかります)。学科試験・実技試験は無試験(2008年からの相互免許協定的な扱い)、監理所では視力検査も不要(事前の健康診断で視力を測るため、その結果を提出すればOK)——手続きは想像以上に軽い、というのが実感です。
そもそも「訳文」で運転できる——切替が必要な人・不要な人
まず前提として、日本の免許+日台交流協会発行の中国語翻訳文があれば、台湾で運転できます。
訳文は日台交流協会の台北事務所(松山區慶城街28號 通泰商業大樓)または高雄事務所で発行してもらえます。当日発行で30分〜1時間程度で受け取れます。日本国内なら JAF でも発行可能(郵送・オンライン申請)。費用は各機関の公式ページで最新情報を確認してください。
訳文で運転できる期間は:
- 入国日から1年間
- 日本の住民基本台帳に登録があり、再入国許可を得て出国して3ヶ月以内に台湾へ戻る場合は、起算日は変わらない(=最初の入国日から1年間、そのまま)
- 3ヶ月以上経過してから戻ると、再入国日が新たな起算日になる(実質的に運転可能期間を延ばせる)
切替が必要になるケース
- iRent などのカーシェア・ライドシェアを使いたい:オンライン申請が主流で、訳文では登録できないケースが多い
- パスポート+訳文の常時携帯が面倒(車を運転するたびに3点セットが必要)
- 頻繁に運転する:訳文は最長でも1年しか使えず、期限が来たら再取得が必要。頻繁に運転するなら切替した方が楽
切替が不要なケース
- 台湾ではほとんど運転しない(公共交通中心)
- 身分証明書としての機能を目的とする場合——台湾では免許の身分証としての機能はほぼゼロなので、身分証目的だけでは意味がない
なお、訳文で運転を続ける選択もできますが、1年経過すると訳文再取得が必要なので、頻繁に運転するなら切替してしまう方が楽です。
試験は無試験——日本免許からの切替は特別扱い
台湾の免許を新規取得する場合は学科試験・実技試験が必要ですが、日本免許からの切替は無試験です。
- 学科試験:不要
- 視力検査:監理所では不要。事前の健康診断で視力を測るため、その結果を提出すればOK
- 実技試験:不要
これは日本と台湾の相互免許協定的な扱いで、2008年10月1日から施行されている制度です。他国免許(米国・中国・韓国等)からの切替では実技試験が必要になるケースがありますが、日本免許からの切替は特別に無試験扱いになっています。
日本人にとっては手続きが軽くて済む、大きなメリットです。
前提:1年以上の居留証(ARC)が必要
一つ重要な前提として、切替には「1年以上の停留または居留の許可を受けていることを証明する書面」(居留証/ARC)が必要です。
つまり、パスポートだけで滞在している観光ビザ等の方は、そもそも切替できません。台湾に長期滞在する意思がある方(ARC保有者)向けの手続きだ、と理解しておいてください。
短期滞在で運転する必要がある場合は、切替ではなく訳文で1年間運転するのが現実的な選択肢になります。
切替の全プロセス——1日で完了
以下の流れで1日で完了します。
Step 1:健康診断(所定の診療所で250元)
まず、所定の診療所または病院で健康診断を受けます。
- 費用:NT$250(診療所により変動)
- 検査内容:体重・身長・視力・視野・聴力
- その場で診断書が発行される
Step 2:監理所へ
健康診断の結果を持って、監理所に向かいます。
新北市の場合、免許の付帯条件によっては、板橋監理所では対応できず、規模の大きい樹林監理所に回される、というオペレーションがあるようです。特に条件のない一般的なケースでは、最寄りの監理所でそのまま完結します。
Step 3:必要書類の提出
窓口で以下を提出します。
- 健康診断結果(Step 1で発行されたもの)
- 日本の運転免許
- 中国語訳文(日台交流協会またはJAFで事前に発行してもらう)
- 1インチの写真
- 居留証(ARC)+パスポート(住所確認のためチェック、コピーが取られる)
Step 4:免許発行
書類が受理されれば、その場で免許が発行されます。
- 発行費用:NT$200
- 免許の形態は「写真を貼った紙をラミネートしただけの簡素なもの」
日本の免許のような硬いプラスチックカードを想像していたら拍子抜けするくらいシンプルです。
費用まとめ
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 健康診断(診療所) | NT$250 |
| 免許発行(監理所) | NT$200 |
| 合計 | NT$450 |
| 中国語訳文(日台交流協会またはJAF) | 別途(各機関の公式で要確認) |
申請費用は NT$450、日本円で約2,000円程度。想像より安いです。別途、訳文取得費が加算されます。
日本免許の条件はそのまま適用——特殊ケースの補足
日本の免許に付いている条件は、基本的にそのまま台湾の免許にも適用されます。例えば「AT限定」であれば台湾の免許も同じ扱い。この点は日本人にとって切替が楽なポイントの一つです。
ただし、身体障害等で日本の免許に個別の条件が付いている場合、台湾側で追加の条件が付くケースもあるようです(例:ハンドルの補助器具の装着義務等)。
実務上、注意しておきたいのがiRent などのカーシェアの登録。条件付き免許の場合、カーシェア系サービスでは登録が通らないことがあります。理由は「その条件(補助器具の装着等)が守られているかを確認する手段が窓口にないため」。カーシェアを日常使いする予定なら、条件付き免許での登録可否を先に確認しておくのが安全です。
レンタカーは車両に補助器具を取り付ければ借りられる可能性が高いようですが、こちらも確実な情報ではないので事前確認をお勧めします。
免許の有効期限——6年、更新条件に注意
台湾の免許の有効期限は6年です(2011年12月13日以降、外国人も台湾人と同じ扱いに)。
- 発行日から6年後の直近の誕生日まで
- 例:発行日が民国115年(2026年)3月23日、誕生日が1月1日の場合、有効期限は民国121年(2032年)1月1日まで
更新条件
免許更新には、1年以上の居留証明(ARC)が必要です。ここが実は落とし穴で、更新時にARCが切れていると新たな免許が発行されない、という事態が起きます。
永久居留証(APRC)保有者は更新条件が免除
これは意外と知られていない話ですが、永久居留証(APRC)を持っている外国人は、免許更新の1年以上居留条件が免除されます。永久居留を持っていれば、免許更新のたびに居留状況を心配する必要がなくなります。
永久居留証を取ったばかりの方には、この面でもメリットが1つ増える形です。
国際免許は台湾では使えない——選択肢は「訳文」か「切替」の2択
意外と知られていない事実として、日本で発行される国際免許は台湾では使えません。理由は台湾が1949年ジュネーブ条約に加盟していないため。
つまり、日本人が台湾で運転する選択肢は次の2つに絞られます:
- 日本の免許+日台交流協会(またはJAF)発行の中国語訳文+パスポート:レンタカーが借りられる、入国後1年間有効
- 台湾の運転免許:カーシェアやライドシェアを含む幅広い用途で使える
レンタカーだけなら訳文で足りますが、iRent などのカーシェア・ライドシェアは基本的にオンライン申請のため台湾免許が実質必須です。カーシェアを使いたいなら切替一択、レンタカーだけでいいなら訳文で十分、という判断になります。
まとめ
日本免許から台湾免許への切替は、書類が揃えば1日で完了する、申請費用は450元の軽い手続きでした。
- 1年以上のARC保有が前提(パスポート滞在者は不可)
- 日本免許+日台交流協会またはJAF発行の訳文で1年間は運転可能(1年経過で再取得が必要)
- 3ヶ月以内の再入国なら起算日変わらず、3ヶ月以上経過なら再入国日が新起算日
- 切替が必要なのは、iRent 等のカーシェア利用、常時携帯を避けたい、頻繁に運転する人
- 学科試験・実技試験は無試験(相互免許協定的な扱い)、監理所では視力検査も不要
- 申請費用は450元、別途訳文取得費(日台交流協会またはJAF)
- 有効期限6年、更新には1年以上の居留証明が必要
- APRC保有者は更新条件が免除される(隠れたメリット)
- 日本の免許条件はそのまま台湾の免許に適用される
- 条件付き免許の場合、iRent などのカーシェア登録では通らないことがあるので事前確認を
- 国際免許は台湾では使えない(台湾が1949年ジュネーブ条約非加盟のため)
- 選択肢は「訳文+日本免許+パスポート」か「台湾免許への切替」の2つ
台湾で運転する予定があるなら、訳文の期限が切れる前にサッと切り替えてしまうのが賢い選択です。ただし運転しないなら、台湾免許は身分証としての機能もほぼないので、無理に取る必要はありません。
(この記事は、駐在員向け生活実務シリーズの第3弾です。第1弾 台湾の永久居留証取得の全記録 / 第2弾 国外転出者向けマイナンバーカードは取る意味があるか も併せてどうぞ。生活面の実務サポートに関するご相談も受け付けています)
