【台湾】駐在員・留学生の部屋探しガイド——591・家賃相場・契約・大家対応の実務と落とし穴

台湾ビジネスのヒント

台湾で単身1年以上滞在する日本人(駐在員・留学生・起業家等)が最初に直面するのが部屋探しと賃貸契約です。私自身、これまで留学生・出張ベースの起業家・駐在員の部屋探しをサポートしてきましたが、日本と勝手が違う部分が多く、事前に知っておくと動きやすい実務論点を整理してみます。

物件の探し方——591とSNS

物件検索は、私は基本的に「591 房屋交易網」を使うことが多いです。台湾の賃貸物件検索の代表的なサイトで、写真・家賃・条件・立地を絞り込んで探せます。他のサイトを使う方もいます。

Facebook・InstagramなどSNSで直接募集されている部屋もあります。特にFacebookには物件情報を集めた専用のグループがあり、そこに大家が物件情報を投稿するパターンが一般的。591よりも掘り出し物や大家直取引の物件が見つかることがあります

家賃相場——用途別の目安

エリアや条件で開きが大きいですが、目安として:

  • 留学生:2万元前後が多い。1万〜1万5千元の物件もあるが、安くなるほど水回り(トイレ・風呂)の衛生面など環境が悪くなる。特に女性は住みやすさと決めやすさを考えて2万元前後を推奨
  • 男性・単身駐在員:綺麗好きなら2万元前後で十分、駐在員クラスなら3万〜4万元の物件を借りるケースも
  • 安い物件の中身:郊外か中心部か、新北市かどうか、雅房(ヤーファン/シェアハウス)タイプかで大きく変わる

家具・家電はほぼ付いてくる

台湾の賃貸物件は大体が家具・家電付き。一般的にはベッド・机・椅子・エアコン・冷蔵庫・テレビが揃っています。電子レンジは無いところも多い洗濯機は共用か部屋にあるかで変わる——といった差はあるので、必要な設備は事前確認が安全。

ちなみに、すべての設備が部屋の中に揃っているタイプは「套房(タオファン)」と呼ばれます。逆に、寝室だけ個室で他は共用のタイプが「雅房(ヤーファン/シェアハウス)」です。

いずれにせよ、日本のように家具を買い揃える必要がないのは大きなメリットです。

契約条件——1年契約が基本、敷金2ヶ月・仲介手数料1ヶ月・礼金なし

  • 契約期間:1年契約が一般的(2年契約はあまりない)
  • 半年・3ヶ月契約も存在するが数は少ない。また期間が短いほど家賃は高くなる傾向
  • 1年住めば敷金は返ってくるのが基本

初期費用の内訳:

項目 金額
敷金 家賃の2ヶ月分
仲介手数料 家賃の1ヶ月分
礼金 なし

日本と比べて初期費用は軽い構造です(日本の敷金・礼金・仲介手数料を全部足した金額より安く済むことが多い)。

必要書類と保証人——パスポートでOK、ARCなしは連絡保証人が必要な場合も

  • 必要書類:基本的にパスポートがあればOK
  • 保証人:大家次第だが、ARC(居留証)を持っていない場合、台湾在住者(ARC持ちの日本人や台湾人)に保証人になってほしいと言われるケースがある
  • 保証人の性質:金銭的な支払い義務が発生する連帯保証人ではなく、本人と連絡が取れなくなった場合の「連絡保証人」として契約書に記載する形

「金銭を保証する」わけではないので、頼まれる側も比較的引き受けやすい種類の保証人です。

契約書は基本中国語のみ

契約書は基本中国語のみです。一般的には市販の標準契約書がそのまま使われ、特記事項がある場合は別紙を1枚添付する形。留学生向け施設など一部を除き、日本語の契約書はほとんどないと考えておく必要があります。

契約書の内容が読めないと不安な場合は、事前に翻訳や解説をサポートしてくれる人(不動産屋・通訳・信頼できる知人など)を挟むのが安全です。

大家との関係——法律改正で弱まっているが、まだ「大家次第」の面が強い

最近こそ法律改正で大家の力は少し弱まってきていますが、それでも大家の決定で契約が延長できないといったことは今もあります。

実話①:シェアハウスが「又貸し」だった

以前、私自身がシェアハウスに住んでいた時のことです。一緒に住んでいた人の持ち家だと最初は聞いていたのですが、話を聞くと実は別に本当の大家がいて、その人から又貸ししてもらって家賃を一部払う形で住んでいた、という構造でした。

ある日、本当の大家が「自分たちが住むから」と戻ってくることになり、”大家だと思っていた人”も私も急に出ていかなければならなくなった、という経験があります。

実話②:家族の窓口が誰かで話が変わる

サポートしたお客さんの案件で、家の所有者はお母さん、実際の窓口は息子というケースがありました。

最初は息子と話をして条件を詰め、部屋を返す際も息子に原状回復の範囲を確認して引き渡したのですが、契約終了時になぜか息子の妹が来て「これではダメだ」と揉めたケースです。

家の中のパワーバランスで、誰の意見が最終決定になるかが読めないケースがあります。所有者が誰か、実際の窓口が誰か、その関係性で話がひっくり返るリスクは日本ではあまりない現象で、台湾特有の落とし穴です。

良い大家に当たれば融通も利く

一方で、直接契約する大家がいい人であれば、契約面でかなり融通を利かせてくれます。例:

  • 契約上は「1年住まなければ敷金は返さない」条件でも、関係性が良ければ「半年住んだから、とりあえず1ヶ月分は返すよ」となったパターン
  • やむを得ない事情で帰国する場合に敷金を返してもらえたケース

大家との関係性が良好なほど、こういう柔軟対応の可能性が高まります。

光熱費・管理費——建物によってバラバラ

これは物件によってかなり違うので、契約前に一つ一つ確認する必要があります。

  • 水道代:家賃に含まれるパターンが多い
  • 電気代:別途支払い。自分で契約する必要はほぼなく、大家が電気メーターを見て1度(1kWh)ごとに毎月請求。ただし単価が大家によって全然違う(1度あたり5元〜8元と幅がある)ので、事前確認必須
  • 家具なし物件:水道も電気も自分で契約が必要なケースあり
  • インターネット:家具付きは基本的に大家名義で入っており家賃込み。ただし回線速度が遅かったり、他の部屋と共用でセキュリティ面が心配なケースも
  • ガス代:ガスを使う物件は多くない(大家が契約しているケースが多い)が、使用する場合は別途徴収
  • 管理費・清掃費:マンションで管理人がいる場合は管理費、いない場合でも大家が定期的にゴミを回収してくれるなら清掃費が発生

マンションでゴミ回収があるパターンなら、大体清掃費がかかると考えておくとよいです。ゴミ回収がない物件では、決まった時間にやってくるゴミ収集車のタイミングで、自分でゴミ出しに行く必要があります

原状回復・退去——基本は元に戻せばOK、日本人はほぼトラブルなし

原状回復は基本的に元の通りに戻せば問題なし。契約書の最後に「もともとこういう設備がありました」と記録されているので、それが無くなっていない限りトラブルにはなりません。

日本人の場合、自分でゴミを処理する習慣がついているため、清掃費用や原状回復費用が請求されるケースはほとんどありません。

揉めたケースの例:住んでいた人が内装の壁を自分で塗装したり、天井の板やはめ込むフレームまで外してしまったケース。さすがに「全部元に戻してくれ」と大家から言われました。もともと大家が用意していた設備を断りなく撤去したり、勝手に交換したりすると、退去時に揉める原因になります。

退去時は、原状回復に問題がなければ大家が一度確認に来て、OKなら鍵を渡して終了。ゴミが少しあれば「こちらで捨てておくよ」、大型家電も相談すれば「そのまま残していい」となることもあります。

外国人が借りにくいケースと対策

  • 大家が過去に外国人とトラブル経験がある:断られるケース
  • ARCがない:拒否されるケース

対策として、外国人向けに貸し出している物件を狙う手があります。外国人対応に慣れていて話が早い一方、家賃は相場より少し高くなる傾向です。

家賃の税務と支払い

大家の申告状況は人によりけり。しっかり申告する人もいれば、申告を嫌う人もいます。判定の一つの目安として、契約時に「前年度の房屋稅の繳稅單(不動産税の納税証明)」を提出してくれる大家はしっかり支払っているとみなせます。逆にこれを提示しない人は、申告していない可能性があります。

  • 支払いは基本的に銀行振込
  • 大家が近くに住んでいて手渡しを希望するパターンは、申告していないケースもある
  • 管理会社が入っているパターンでは、支払い先が管理会社になり、透明性が高い

契約後のトラブル例

  • 水漏れ・害虫:シロアリなど、個人では対処できず大家に頼んでも改善されず、引っ越しに至るケースも
  • 室内設備の勝手な変更:もともと大家が用意していた設備を断りなく撤去したり、勝手に交換したりすると、退去時に問題化
  • 大家が遠方:トラブル時の対応が遅い
  • 古いマンションの旧式鍵:エントランスがセンサー式ではなく物理鍵で、故障して入れなくなる

駐在員・留学生へのアドバイス

最後に、実務家として最も伝えたいポイントを4つ:

1. 1箇所で決めず、条件の異なる3軒ほどを見て比較する

大家に実際に会って人柄や対応を確認することも重要。物件のスペックだけでなく、大家の人柄が住み心地を大きく左右します。

2. アクセスの良い中心地で相場より安い物件は理由がある

裏路地・最寄り駅から遠い・洗濯機が部屋になく共用、など。安さの裏には必ず理由があります。

3. 短期賃貸(ホテルライクな専用施設)と通常マンションを比較

最近は駐在員・留学生向けの短期賃貸施設が増えています。通常マンションより家賃は高めですが、家具・清掃・トラブル対応がパッケージ化されているので、手間を惜しまない代わりに時間を買う選択肢として検討価値あり。

4. 内見時に設備を実際に使ってみる——特に給湯器

水回りや給湯器のチェックは必ず。良心的な大家なら契約前に一つひとつ確認してくれます。

特に注意したいのが給湯設備タンクにお湯を貯めて温めるタイプのシャワーの場合、お湯を使い切ると再度温まるまでに時間がかかります。特に女性や冬場は湯切れでつらい思いをすることがあるため、事前確認をお勧めします。

まとめ

台湾の部屋探し・賃貸契約は、日本と比べて:

  • 初期費用は軽い(敷金2ヶ月+仲介手数料1ヶ月、礼金なし)
  • 家具・家電付きが基本、日本のような家具購入不要
  • 契約書は中国語のみ、事前の翻訳・解説サポートが安心
  • 大家の人柄・家族構造が住み心地を大きく左右(実話:又貸し、家族パワーバランス)
  • 光熱費の扱いは物件ごとにバラバラ、契約前に一つひとつ確認
  • 給湯器のタンク式は湯切れリスク、内見時に必ず確認

物件のスペックより、大家に会って人柄を確認する方が長期的な住み心地を左右します。実務家として、これから台湾で家を借りる方には3軒以上の比較+大家との対話をお勧めします。


(この記事は、駐在員向け生活実務シリーズの第4弾です。第1弾 台湾の永久居留証取得の全記録 / 第2弾 国外転出者向けマイナンバーカードは取る意味があるか / 第3弾 日本免許から台湾運転免許の切替 も併せてどうぞ。生活面の実務サポートに関するご相談も受け付けています)

タイトルとURLをコピーしました