台湾の永久居留証を”結婚類型”で取るまでの全記録——書類・費用・所要期間・面接質問まで実体験でまとめた

台湾ビジネスのヒント

台湾で長期ビジネスをする日本人経営者・駐在員が、遅かれ早かれ検討することになるのが永久居留証の取得です。取ってしまえば毎年のビザ更新から解放され、身分の安定という意味でも大きな意味があります。

ただ、この永久居留証、情報が非常に分かりにくいのが実情です。日本語の詳細記事は限られており、私自身も中国語で移民署のサイト等を調べましたが、手順や必要書類が曖昧なままスタートすることになりました。

そこで今回、私が実際に結婚類型で申請して約4ヶ月かけて取得した全プロセスを、書類・費用・所要期間・面接質問まで含めて記録として残しておきます。同じ立場で申請を検討している方の参考になれば。

申請の類型——結婚類型は”最も簡単”

永久居留証には複数の申請類型があります(学歴、投資、年収、結婚など)。私が使ったのは結婚類型で、これは類型の中では最も要件が緩く、書類も少なくて済むルートです。

台湾人配偶者がいる場合、まずこの類型を検討するのが自然です。他の類型(例:年収要件を満たす投資型)は、書類も要件もさらに重くなります。

所要期間——予定2ヶ月、実際は最終申請から25日

申請の全体像はこうでした。

  • 3/23:初回、移民署訪問(後述の理由で出直し) → その足で日台交流協会に犯罪経歴証明書を申請
  • 3/23〜6/9:犯罪経歴証明書の取得〜認証〜公証(最大の難所)
  • 7/3:移民署再訪(また出直し)
  • 7/21:配偶者同伴で移民署に本申請
  • 8/17:永久居留証が郵送で届く

移民署の本申請から交付まで、予定は2ヶ月と言われたが実際は25日ちょっと。ただし、書類準備に前後4ヶ月かかっているのが実態です。

最大の難所:犯罪経歴証明書

永久居留証申請で最も時間がかかるのが、この犯罪経歴証明書です。日本と台湾の両方が必要で、しかも日本側は認証と公証まで済ませたものが必要になります。

台湾の犯罪経歴証明書(良民證)

  • オンライン申請
  • 2〜3営業日で完成
  • 1枚 NT$100

これは簡単。

ただし、良民證は発行から3ヶ月で期限切れになるので、他の書類が揃うタイミングを見計らって取る必要があります(後述の罠に繋がる)。

日本の犯罪経歴証明書——日台交流協会が代行してくれる

日本の犯罪経歴証明書は、本来は日本の警察で申請するもの。「わざわざ日本に戻らないといけないのか」と絶望しかけましたが、日台交流協会が代行申請してくれることが分かりました。

  • 日本に戻る必要なし
  • 費用は無料
  • 日台交流協会に必要書類を提出→協会が日本の警察に代行申請→完成したら電話連絡

私の場合、3/23申請→5/29に受取電話→6/1受取 で、約2ヶ月ちょいかかりました。

これは事実上、日本国外にいる日本人が日本の警察証明を取る唯一の実務的ルートです。日台交流協会、マジで神です。

実際に受け取った犯罪経歴証明書(表面)がこちらです。日本の警察庁が発行する多言語対応の証明書で、記載言語は日本語・英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語の5言語。

日本の警察庁が発行する犯罪経歴証明書(表面)

証明書の裏面には、日台交流協会の担当者による署名が入ります。これが「日台交流協会経由で受け取った本物」であることの証明になります。

犯罪経歴証明書の裏面。日台交流協会担当者の署名入り

受け取ったら開封してはいけない&中国語訳文を作る

受取時に念を押されるのが、「封筒は絶対に開けてはいけない」という点。この封筒は次の”認証”手続きで、窓口の人が開封するためのものです。開けた瞬間に無効になり、また日台交流協会からやり直しになります。

もう一つ、受取時に指示されるのが「中国語の訳文を自分で作ってください」という宿題。日台交流協会が雛形をくれるので、それに沿って警察担当者の名前・自分の名前・生年月日・パスポート番号などを入力して訳文を作成します。これを外交部での認証時に一緒に提出する必要があります。

認証(外交部)

犯罪経歴証明書を受け取ったら、外交部で認証を受けます。

  • 場所:外交部(台北市中正區濟南路1段2之2號 3〜5樓)
  • 費用:NT$400
  • 所要:2営業日後の午後から受取可能
  • 窓口で封筒を開封してくれる
  • 持参物:犯罪経歴証明書(未開封)、中国語訳文、身分証原本+コピー
  • 窓口で封を切った後、犯罪経歴証明書のコピーを取ってくるよう言われる(すぐ近くのコピー機で)

私の場合、6/5に持ち込み、6/9午後に受取という流れでした。

外交部で発行される認証書(DOCUMENT AUTHENTICATION)がこちらです。上部の紙は外交部が発行する認証カバーで、この下に元の犯罪経歴証明書が貼り付けられます。

外交部が発行する認証書 DOCUMENT AUTHENTICATION

公証(公証人役場)

認証を受けた後、さらに公証人役場での公証が必要です。

  • 場所:各地の公証人役場(外交部の近くにもある)
  • 費用:NT$750(役場によって異なる)
  • 支払い:現金のみの役場もあるので要確認
  • 予約が必要——空きがなければ数日待つ可能性
  • 公証はその日のうちに完了

私は外交部で受け取った日(6/9)にそのまま公証を済ませたかったので、当日16時に電話予約し、外交部で15時に受取→公証人役場へ、という流れで1日で片付けました。公証人役場の予約は早めに動くのが吉です。

移民署への提出——予想外の”出直し”が2回

書類が揃ったら移民署に提出、と思いきや、ここでも罠がありました。

罠1:初回訪問時「予約が必要」→再訪時「予約不要」

3月に良民證だけ持って移民署に行った時、「予約制です」と言われました。初回訪問には予約が必須なのは間違いなさそうです。

6/10に電話予約したところ、予約が埋まっていて7/3が最短と言われる。

7/3に行ったら、「予約不要、準備でき次第来ていい。着いたら担当の内線に電話して」と言われました。2回目以降は予約不要、というのが実態のようです。

ちなみに7/21の本申請時は、内線番号に連絡したところ「今受付にいる人が対応してくれる」と言われ、電話も不要でした。運用が緩い。

罠2:新北市の移民署は”永久居留だけ別窓口”

私が申請したのは新北市の移民署でしたが、永久居留証だけ通常の窓口では対応してくれないという独特のオペレーションになっていました。

入口を入ると正面がホールになっていて、通常の居留証申請や他の書類系申請は、ホール左手にずらっと並んだ窓口カウンターで対応しています。ところが、永久居留証の申請は、なぜかその窓口では受け付けてくれない。代わりに、ホール右手に設置された簡易的なテーブルで対応してもらう、という流れでした。

  • 入口は開けっぱなし
  • クーラーもないため、夏場は非常に暑い
  • 事前に「窓口カウンター」の想定で行くと、面食らいます

Google Mapsで新北市移民署を見ると入口正面のホールが確認できますが、問題のテーブルはそこから画面に映っていない右手側にあります。夏場に行く方は水分と汗拭きを持参することをお勧めします。

罠3:結婚類型は配偶者同伴が必要

7/3の再訪時、私一人で行ったところ、「結婚類型は配偶者本人も一緒に来る必要がある。来られない場合は簡易的な委任状と配偶者の身分証原本が必要」と言われました。

事前に案内がなかったのでハマりましたが、考えれば結婚類型なんだから当たり前の話です。事前に配偶者の同伴 or 委任状の準備を確認しておくのが吉。

罠4:良民證の3ヶ月期限切れ

7/3訪問時、3月に取った良民證が既に3ヶ月経過で期限切れ再度取り直すことに(またNT$100)。

書類準備〜提出の流れが長引くと、この期限が効いてきます。良民證は他の書類が全部揃う直前に取るのが正解、というのが後知恵での学びです。

本申請(7/21)

7/21、配偶者と一緒に移民署に再訪。全書類を提出し、申請費用 NT$10,000を支払って手続き完了。

  • 審査が通らなかった場合は10,000元は返金される
  • 審査期間:2ヶ月と言われる
  • 受取:移民署で直接受取 or 郵送(別途切手代 NT$28)

私は郵送を選択。そして、予定より1ヶ月早い8/17に手元に届きました

必要書類まとめ

参考として、私の場合の必要書類一覧です:

  1. 申請書(窓口でもらえる)
  2. 日本の犯罪経歴証明書(過去5年分、認証・公証済み、中国語訳文付き)
  3. 台湾の犯罪経歴証明書(良民證)
  4. 結婚證明書
  5. 申請者の通帳表紙のコピー(口座番号・名義が書かれた部分)
  6. 申請者の居留證、パスポート、配偶者の身分証のコピー(原本も提示、古いパスポートがあればそれも必要)
  7. 写真(カラー、2インチと記載されているが実際はもっと大きいサイズを要求される。移民署内に証明写真の機械があるので事前準備不要)

他の類型(学歴・投資・年収など)で申請する場合は、この書類構成は変わるので、あくまで結婚類型のケースとして参考にしてください。

面接質問——聞かれた内容

移民署での申請時、申請者と配偶者、同じ場所で2人同時に口頭質問されました。以下は私が実際に聞かれた内容です。

  • 結婚生活はどうですか?
  • 経済的にどうですか?
  • お仕事は何をされていますか?
  • 配偶者さんのお仕事は?
  • 給与はいくらですか?
  • 配偶者さんは?
  • 貯金はいくらありますか?
  • 配偶者さんはどうですか?

構えるほどの内容ではなく、日常的な質問が中心です。配偶者と同じ場所で2人同時に聞かれる形でした。

貯金の質問——聞かれるのは「個人の貯金」

「貯金はいくらありますか?」の質問で、私は「会社を含めてか、個人だけか?」と確認しました。すると「個人だけで」という回答。会社の資金は含めない、個人の貯金額を聞かれます(考えれば当然の話ですが)。

経済状況が”厳しめ”でも通るケース

面接での経済状況の確認は、「配偶者との合算で判断される」印象でした。

私の場合、会社に多くのお金を残しており、個人の給与・貯金は一般水準を下回る数字でした。しかし配偶者が大手企業に勤めており、給与・貯金がしっかりしていた。この配偶者側の水準で申請が通ったように感じています。

結婚類型で申請する場合、申請者本人の経済水準だけで諦める必要はない、というのが実感です。

また、要件として書かれていた内容によると、夫婦(あるいは配偶者側)が台湾国内に不動産を持っている、というのも判断材料の一つになるようです。

私も、給与や貯金で不足と判断された場合の予備として、不動産に関する証明資料を用意して持参していました。今回は使いませんでしたが、経済状況で不安がある方は事前に準備しておくと安心です。

費用まとめ

私のケースでの実際の費用内訳です:

項目 費用
良民證(初回) NT$100
良民證(再取得) NT$100
日本の犯罪経歴証明書(日台交流協会代行) 無料
外交部認証 NT$400
公証人役場 NT$750
移民署申請費用 NT$10,000
郵送切手代 NT$28
合計 約 NT$11,378

日台交流協会の代行が無料なのが大きい。総額で日本円ベースだと5万円強という感覚です(レートにより変動)。

まとめ——事前に知っていれば時間を短縮できる

私の場合、情報の曖昧さから出直しが2回、書類準備で4ヶ月かかりました。事前に流れが分かっていれば、以下の順序で動くと3ヶ月弱で終わったはずです:

  1. まず日台交流協会に犯罪経歴証明書を申請(これが最長・約2ヶ月かかる)
  2. その間に中国語訳文を雛形に沿って作成しておく
  3. 日本の犯罪経歴証明書が届いたら外交部で認証→公証人役場で公証(2週間)
  4. 直前に良民證を取得(3ヶ月期限切れを避けるため最後に)
  5. 配偶者同伴で移民署に本申請(初回は要予約、2回目以降不要)
  6. 約1〜2ヶ月で交付

永久居留証を取る意味——費用対効果と、”ステータスに依存しない滞在”

永久居留証を取得するには、居留證を取得した状態で5年以上台湾に滞在していることが基本条件になります。会社の代表や駐在員として過ごす場合、その間の納税証明などが必要になる可能性もあります。

そして重要なのが費用対効果の観点。

  • 永久居留証の申請費用:NT$10,000(一度きり)
  • 通常の居留證更新:1年ごとにNT$1,000

つまり、10年以上滞在しないと費用面で元が取れない計算です。3〜5年程度の中期滞在であれば、毎年の更新の方が安くつきます。

ただし、費用だけで判断するものでもありません。永久居留証の最大のメリットは、”特定のステータスに依存せず滞在できる”点にあります。

  • 会社員の場合:会社からビザを発給してもらっている状態なので、その会社を辞めた瞬間に居留資格が消える。永久居留があれば、辞めてもそのまま滞在できる
  • 結婚が理由の場合(私のケース):仮に今後離婚したとしても、永久居留があればそのまま滞在が可能になるはず(後述)
  • 会社の代表の場合:その会社法人がなくなったり、売却したりした後も滞在できる

ARC(居留證)には「居留事由」の欄があり、そこに”依親”(結婚)や”就業”などが記載されています。「その事由があるから滞在している」という建て付けです。ところがAPRC(永久居留証)にはこの事由欄がありません。理由を問わず滞在できる、という理解です。

結婚類型で私が申請した場合の「離婚後も滞在できるはず」の補足について:調べた限りは問題なさそうなのですが、今回の申請が通った理由が奥さんの経済的な部分が大きかったと感じているので、そこは少し気になっている部分です。この点、より詳しく確認できたら別途更新するかもしれません。

総じて、長期滞在・本格的に台湾に居住することを決めている人なら、費用面での元は取れなくとも「ステータスに依存しない安定した滞在」という価値で、取っておく意味は十分にあると思います。


(この記事は、駐在員向け生活実務シリーズの第1弾です。今後、台湾運転免許・部屋探し・個人銀行口座なども順次まとめる予定です。生活面の実務サポートに関するご相談も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください)

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