台湾でお店を出すときに注意したい「大家の力」

不動産関連

台湾でビジネスを始めるにあたって、まず最初に直面する壁のひとつが不動産契約です。特に店舗物件を借りる場合、日本とは比べ物にならないほど「大家(オーナー)」の力が強いことを知っておく必要があります。

契約更新ができない理不尽

ある知人は台湾でお店を開業しました。数年契約で物件を借り、内装を一新してオープン。徐々にお客様も定着して軌道に乗ってきた頃、契約更新の意向を早めに伝えたところ、大家からの返答は意外なものでした。

「契約は延長しない。敷金は返すから、早めに出ていってほしい」

これだけ聞くと理不尽の極みですが、台湾ではこうしたことが珍しくありません。

後日、その物件の一帯は都市開発の対象となり、建物ごと取り壊され、新たに大型ビルの建設が始まりました。大家にとっては、長期的な利益を見据えた「当然の判断」だったのかもしれませんが、テナント側にとっては青天の霹靂です。

家賃が高騰して更新拒否されるケースも

別のケースでは、当初は人通りも少ない場所にあった店舗が、観光地化や交通の発展で集客力がアップ。それに目をつけた大家が、より高い家賃で貸したいという理由で契約更新を拒否した例もあります。

有名ブランドでも揉める「家賃トラブル」

2016年、西門町でH&Mが出店する際にも問題が起こりました。家賃は月1200万元で大家と合意。しかし、その後、前テナントだった誠品書店の家賃が月800万元だったことが発覚。H&Mはこれに難色を示し、工事を一時中断。その後、2ヶ月遅れでオープンに至りましたが、家賃がどうなったかは報道されていません。

大家は「誠品の家賃は特例で、市場価格とは乖離していた」と主張しましたが、このように大家の都合で条件が変わることも、台湾では起こり得るのです。

大家は借り手を選べる立場

特に人気のあるエリアでは、物件に空きが出るとすぐに次の借り手が見つかるため、大家は強気な姿勢を取りやすいのが現実です。

また、前述のように都市開発の影響で立ち退きになることもあります。これは契約時に避けるのが難しく、長期的に安定した店舗運営を考える上で、大きなリスクのひとつです。

店舗ビジネス成功のカギは「大家との関係」

台湾で長くビジネスを続けるには、物件の条件だけでなく大家の人柄も重視すべきです。契約時には可能な限り直接会って人となりを見極め、信頼関係を築くことが重要です。

実際、複数物件を所有している裕福な大家であれば、空き物件が出た際に優先して声をかけてもらえることもあります。それが新店舗の出店や移転に繋がる可能性もあります。

まとめ:店舗ビジネスは「不動産リスク」との戦い

台湾での店舗経営には、大家リスクが常に伴います。

契約内容の確認は当然のことながら、大家の性格・考え方を見極め、長期的な関係性を築く姿勢が不可欠です。

それが結果的に、ビジネスの安定と拡大の土台になることを忘れてはいけません。

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