台湾で10年ビジネスをやってきて、日本の経営者に伝えたいこと

台湾ビジネスのヒント

台湾でビジネスを始めて、10年以上が経ちました。

始めた頃は、正直「本質」が何かは分かっていませんでした。10年やってきて、少しずつ見えてきたことがあります。今日は、日本の経営者の方に、直接お話しするような気持ちで、その一部を書いてみます。

結局、効いてきたのは「人」だった

これが本当に「本質」なのかは分からない部分もあります。それでも、10年やってきて一番強く感じているのは、現地でパートナーや協力者となってくれる人が、どれだけ見つかるかという点です。

特に、「どこから手をつけていいか分からない」という状態のときに、協力してくれる存在が見つかると、初動が圧倒的に早くなります。試せることの幅も広がります。

台湾の企業の中には、もちろん将来的なリターンを見込んで協力してくれるところもあります。ただ、そういう見返りがまだ見えない段階から、あれこれと気を回して助けてくださる方もいます。そんな温かい協力者に恵まれると、ビジネスが成功する確率は格段に上がる——これが実感です。

勢いで法人を先に作らない

海外進出を志す方は、勢いのある方が多い印象があります。それ自体は素晴らしいことです。ただ、まずは市場調査や、現地での協力会社を見つけることに、しっかりと時間と労力をかけるべきだと感じています。

そこで市場の状況、自分たちのやりたい方向性、そして「どこであれば勝ち筋が見えるのか」を見極めてから、本格的にスタートしても決して遅くはありません

このプロセスを飛ばして、いきなり法人を作ろうとしてしまうケースがあります。ただ、法人を作ってしまうと、そのランニングコストがずっとかかり続けます。そこから調査を始めたり、現地のことを知ろうとしても、資金や運営の面で厳しくなってしまいます。

特に最近は、銀行口座の開設が厳しくなったりして、法人設立のハードルが以前より上がっています。それでも法人を作らずに、「海外取引」という形で台湾の企業と取引を始められる可能性もあります。いろいろな道を模索しながら、自社にとってのベストを探る姿勢が要ります。

巻き込む力、または自ら乗り込む力

10年見てきて、強いと感じる経営者には、周囲を巻き込む力があります。あるいは、社長自らが台湾に乗り込んで、自分の手で開拓していく強い精神を持っている方も、非常に強いです。

例えば飲食店を展開される場合、経営者自身が店長として現場に立ち、しっかりと動いていくスタイルが多くなります。最初は言葉が通じなかったとしても、現地のスタッフを雇いながら、市場の状況やお客さんのニーズを肌で感じて、改善を繰り返していく。

こうした現場での泥臭いプロセスを、粘り強く続けられること——ここが、日本の経営者の方が本当に長けている部分だと感じています。

日本の経営者の強み——「粘り強さ」

台湾の経営者、特に個人事業主でお店を始めるような方々は、経営判断が非常にスピーディーです。「まず動く」の文化が根付いています。

一方で、改善を重ねる前にスパッと諦めて事業をたたむ傾向もあります。「これは違うな」と感じたら、あまり執着せずに次に行くスタイルです。

それに対して、日本の経営者の方は、粘り強く事業を継続し、改善を重ねていく力が強いと感じます。細かい修正、丁寧なフィードバックの反映、少しずつ良くしていく積み上げ。ここは、台湾側にはあまり見られない強みです。

海外進出のときは、「スピード感で台湾に合わせるべき」と言われがちですが、日本流の粘り強さは、むしろ武器として残すべき部分だと私は考えています。

10年前の自分に、一つだけ伝えるとしたら

もし10年前の自分に一つだけ伝えるとしたら、やはり「人脈を大事にするように」ということだと思います。

10年やってきて、人と人とのつながりでここまで来ている部分が、本当に多いです。もっとそこに気を配りながら動いていたら、この10年はもっと違うものになっていたのではないか——そう感じることがあります。

最近、特に伝えたいこと

最近、日本の方と話す機会が増える中で、特に伝えたい、と感じることがあります。

円安が続いていたり、日本の市場自体が厳しくなってきたりしていることもあって、「海外市場に進出したい」という方が増えている印象です。

それ自体は間違っていないと思います。海外に展開できれば、それだけチャンスも増えるので、良いことです。ただ、「何をするのか」「日本と同じことをするとして、それが台湾市場で通じるのか」といった点は、事前にしっかりチェックした上で進めるべきです。

特に最近は、法人設立のハードルが上がっていたり、法律の面でも動きにくくなっていたり、制限がかかっている部分があります。今までのように、簡単には行かなくなっています。

だからこそ、確認すべき部分はしっかり確認して、堅実な一歩を踏み出す——この姿勢が、今の台湾進出には本当に大事になってきていると感じます。

結局のところ

10年やってきて、伝えたいことは、突き詰めるとシンプルです。

「人を大事に、そして急がず、しっかり基盤を作ってから動く」

これだけです。

日本の経営者の粘り強さ、丁寧さは、台湾市場でも大きな武器になります。それを活かせる進出の設計を、時間をかけて作ってから、本格スタートしていく。

そうした堅実な一歩が、遠回りに見えて、実は一番の近道なのではないか。10年やってきた今、私はそう感じています。

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