こんにちは、
今回は、台湾企業との商談や展示会で「日本企業がやりがちだけど、実はマイナスに働く資料の作り方」についてお話しします。
英語資料=正解、ではない?

通訳として展示会や商談に入ると、よく見かけるのが「日本企業が英語の資料を準備している」ケースです。
一見、「海外向けなんだから英語でしょ」と思われるかもしれません。でも台湾では、英語よりも日本語の方が読みやすいと感じる人も多いんです。
なぜなら、日本語には漢字が多く含まれていて、台湾人にとっては視覚的に馴染みがあるから。
それに、漢字から意味がある程度推測できるため、”日本語資料の方が“読める気がする”という親近感もあります。
補足:もちろん英語の方がわかるという方もいるので一概には言えません。
中国語資料=正解、でも「簡体字」だと逆効果になることも

さらに丁寧な企業になると、中国語に翻訳された資料を準備してくれることもあります。
これは素晴らしいことですが、ここにも落とし穴が。
それは、簡体字で作られた中国語資料です。
簡体字は中国大陸(中国本土)で使われている文字体系で、台湾では使われていません。台湾では今も繁体字(旧字体)が一般的。
特に年配の方などは、簡体字に対して「手を抜いている」とか「台湾のことをわかっていない」といったネガティブな印象を持つこともあります。
若い世代では簡体字に慣れている人も多いですが、それでも繁体字で準備する方が印象は断然良いです。
補足:中国語といえば一般的に簡体字を指すので、AIに「中国語に翻訳して」と言うと簡体字で翻訳されてしまいます。翻訳者に依頼する場合も同様に「繁体字に翻訳できる方」を探しましょう。
以下は日本語、簡体字、繁体字の表記の違いです。
日本語「学習」
簡体字「学习」
繁体字「學習」
「日本人=漢字を使う」ことを知らない台湾人もいる

余談ですが、私が台湾で仕事をしていると「漢字読めるの?すごいね!」とか、「日本人なのに漢字書けるの?」と本気で驚かれることがあります。
最初の頃は「なんでそんなことも知らないの?」と思っていましたが、台湾のすべての人が日本の文字事情を知っているわけではありません。
だからこそ、言語に関しては自分たちも相手の立場になって考えるという配慮が必要です。
言葉の違いは「気づき」にすぎない
言語の細かい違いは、氷山の一角にすぎません。
文字だけでなく、台湾と中国では文化や考え方も異なりますし、「親日=優遇してくれる」と思い込んでしまうと、思わぬところで信頼を失うこともあります。
台湾でビジネスをする以上、相手の文化や背景を最低限理解し、そこに合わせていく姿勢が重要です。
最後に:繁体字資料、準備してますか?
台湾との商談・展示会を控えている方へ。
日本語資料をそのまま使うのも一つの選択肢ですが、本気で臨むなら、繁体字で丁寧に翻訳された資料があるとベストです。
少しの配慮が、相手との距離を一気に縮めてくれますよ。

